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2021年、京都の不動産市況はどうなるか?

新年あけましておめでとうございます。コミュニティ・ラボ 代表の田中和彦です。

2021年最初のエントリーは年初らしく「不動産市況の展望」です。京都市内中心部の市況をイメージして書いていますが、一つ目と二つ目は日本国内の都市圏中心部についても当てはまると思います。

投資用住宅市場は活況となる

京都の中小規模のホテル業や飲食店は壊滅的な打撃を受けています。街の至る所に灯がつかずエントランスに張り紙のされた宿泊施設があり、かつては歩くことすらままならなかった錦市場や寺町京極、新京極、木屋町、五条坂等々はテナント募集の看板だらけです。

宿泊施設は、大手事業者のホテルを中心にまだまだ建設されています。中小規模の、特にここ数年ではじめたような事業者は運営を継続することが難しくなり遅かれ早かれ手放すもしくは宿泊事業以外への転用を始めます。

飲食店を営む人はその多くが店舗を賃貸で借りています。店を閉じて退去されて困るのはテナントのオーナーです。賃料を下げるなどして次の借主を探さなければいけません。

このように、つい一昨年まで「優良不動産」だった宿泊施設や商業施設は「筋の悪い不動産」になってしまいました。それらのオーナーの一部が優良物件への入れ替えのため居住用のアパートやマンションの購入に向かう、それが今年の流れになると思います。

コロナ禍で、店舗やホテルは減少、事務所は縮小となっても、世帯数は減りません。住宅は一番安定した優良資産です。


「高級住宅街」人気が復活する

2015年あたりから一昨年2019年まで、京都でいちばん「儲かる不動産」は間違いなく宿泊施設でした。分譲マンションデベロッパーも、京都市内中心部で保有する分譲マンション用地をホテル事業者に転売したり、自社グループでホテルを始めたりしたため、ここ数年は市内中心部での分譲マンション供給が途絶えました。

とりわけ価格が上がったのがJR京都駅中心部でした。住宅地として人気の低かった駅の南側の取引価格は実感値として3〜5倍程度にはなったのではないでしょうか?それ以外でも宿泊施設の開業が可能な用途地域では土地価格が高騰しました。

一方、北大路、北山、松ヶ崎といった高級住宅街を含むエリアは、それほど大きく土地価格が上がることはありませんでした。理由は、宿泊事業の旅館業の開業ができなかったためです。高級住宅街はその用途地域が第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域等であり、旅館業の許可が下りないのです。

元々土地値の高かった高級住宅街は土地価格がそれほど上昇せず、土地値の安かったエリアの中でも旅館業の可能なエリアは価格が高騰した結果、土地価格のバランスが変わり「高級住宅街が割安」な状態へと変わりました。

それが昨年からは「ホテル廃業」「住環境の見直し」の流れが始まりました。割安となった高級住宅街エリアが再び注目され、その人気が復活する、今年はそんな一年になりそうです。

ユニークな用途の建物が増える

先にも書きましたが、営業を停止、もしくは廃業した宿泊施設は京都市内にごまんとあります。すでに住宅転用されたものもありますが、数としてはほんの一部であり、まだ多くの建物が未利用のまま放置されています。

住宅に転用できる建物は住宅に戻せば良いのですが、問題は住宅の基準を満たしていない建物です。住宅用途として利用するための基準を満たしていない建物は、コストをかけて住宅転用するにも多大なコストがかかったり、もしくは「改修不能」であったりするため、実質的に住宅以外の用途で利用するしかありません。

今は利用されていない建物も、いずれは何かに利用されます。オーナーに余力があれば保有したまま用途変更をするでしょうし、余力がなければ売却され次のオーナーが何か新しいことを始めるでしょう。今は利用されていない「宿泊施設」が事務所、SOHO、コワーキングスペース等々新しい用途で活用される事例が増える一年になると思います。